風になって走る！
風になって走る！
栗川治
ランニングで私の朝は始まる。当初はメタボ対策が目的だったが、徐々に、澄んだ空気の中を汗をかきながら走る快感そのものが喜びとなってきて、今や私の人生にとって欠かせない大切なものとなっている。それでも、荒天の時や長距離走の後半など、なぜこんなに苦しい思いをしてまで走るのだろうと自問する事もよくある。
そこで、走る事、生きる事を考えるきっかけを与えてくれそうな本を紹介したい。
『一瞬の風になれ」（佐藤多佳子著、講談社）。サッカーに限界を感じた神谷新二と、やる気のない天才スプリンター一ノ瀬連が春野台高校陸上部に入部。ひたすらに走る、その事が次第に二人を変え、部を変える。高１編「いちについて」、高２編「ようい」、高３編が「どん」の全三冊。
『風が強く吹いている』（三浦しをん著、新潮社）。竹青荘に下宿する１０人の大学生。陸上とは縁の無い素人集団が清瀬灰二の情熱に引き込まれながら無謀にも箱根駅伝に挑む。
『走ることについて語るときに僕の語ること』（村上春樹著、文芸春秋）。走る事が、小説を書く事であり、生きる事である。新潟県村上市のトライアスロンをはじめ、世界各地で走る村上春樹の私小説的ノンフィクション。
走ってみたい人、部活を強くしたい人、小説を書きたい人、やせたい人、そして人生の意味を考えたい人に、いずれもおすすめの図書だ。
（新潟県立新潟西高等学校図書館だより「library」２００９年３月）
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