早稲田大学グリークラブ第２８回定期演奏会
早稲田大学グリークラブ第２８回定期演奏会
■ 日時：１９８０年１２月１７日
■ 会場： 新宿文化センター大ホール
１ 校歌「都の西北」
２ クラブソング「輝く太陽」
３ 「月光とピエロ」（堀口大学作詩、清水收作曲）
４ ヤナーチェク男声合唱曲集（レオシュ・ヤナーチェク作曲）
５ 「炎える母」（委嘱初演、宗左近作詩、荻久保和明作曲）
６ Ｄｉｅ Ｌｕｓｔｉｇｅ Ｗｉｔｗｅ「メリー・ウィドウ」（ビクトール・レオン・レオシュタイン作詩、フランツ・レハール作曲、福永陽一郎編曲）
指揮： 福永陽一郎（４，６）、荻久保和明（５）、川元啓司（学生・１，２，３）
ピアノ： 小川弥生子（５）、金井典子（６）
エレクトーン： 小林淳子（６）
コントラバス： 毛利恭三（６）
ヴァイオリン： 中村典子（６）
ソプラノ独唱： 勝本章子（６）
演出： 粟国安彦（６）
栗川治は大学３年生、バリトンで出演
ヤナーチェク男声合唱曲集
（訳：早大グリークラブ・栗川 治、原詩はドイツ語）
１ うつろいやすい愛
たくましい青年よ、聞いてください 黒馬の騎士のあなた
せめて今日だけは、ここにいて あすまでなら いいでしょう
私のそばにいてください
もう幾夜も あなたと一緒に過ごしたけれど あなたをほしがる女には
一銭の値打もない こんな女は あなたにふさわしくない
愛する人よ お前の心はうつろいやすい
もみの木ばやしの高みを流れる 冷たい小川のように うつろいやすい
小川は流れ去る 愛の高まりは過ぎ去るに違いない
もうすぐ過ぎ去る ローズマリーもまた
２ 孤独
朝ははやく 夜は明ける しかし以前の夜明けはない
もはやニ度と 昔のようには。
お前が私から 去ってしまってからというもの。
お前は山へ行ってしまったのか 谷に安らぎを探しに行ったのか
私は知りたい かわいい娘よ 何処でお前にまた会えるのか 私は孤独だ
山腹に生える一本の茎のように草はしおれるが いつもまた緑に戻る
それなのに私の愛する人は 幸福は 二度と戻ってこない
３ おどし
最愛のあなた 私は思い切って言います はやく改心して！さもないと
私はあなたに背を向けて 二人の仲を終わらせてしまうから。
あなたのことを自分の命よりも愛し
あなたの過ちを何度も許してあげた あなたは考えたこともないだろうけど
主なる神様でも 罪を与え給わないでしょう。
もし私が他の人とつきあえば あなたはとてもいらだつでしょう
他の男の腕の中で 私はあなたのことを 憐れみもなく笑ってやるわ
そしてその人は私を 結婚式の祭壇へ連れて行ってしまうかも
もしあなたが今まで以上に私を愛して これまでのような誤った愛を
後悔するなら 私たちは ろうそくの炎の下で
司祭様の言葉に祝福され手をつなぎ いつまでも結ばれることでしょう
私たちを引き離せるのは もう神様だけなのです
４ 愛よ、お前は！
おお愛よ お前はひきも切らず
冷たい山の小川のように激しく流れる そうして流れてゆくのだ
小川よ お前は流れやまない 愛よ お前はいつか かわいい花のように
しぼんでしまう そうやって死んでいくのだ
５ 戦争、なんと不幸なこと！
ああ戦争！ また戦争だなんて なんと不幸なことだろう
その上俺は出征せねばならない なにしろ女王様ご自身が ここモラビアへ
手紙を下さって このかわいそうなヤーノシュに戦うよう命ぜられたのだから
ヤーノシュは今、悲しげに川岸に立っている 彼の頭の中は混乱している
馬に乗り 刀を脇に下げ 戦闘帽をかぶれというのか！
いや、俺は馬になど乗らない 俺の頭の中は混乱し
心は引き裂かれんばかりだ お前たちの考えはわからない 俺のあの娘の目は
泣きはれている かわいいあの娘も ひとりぼっちになってしまう
６ お前の美しい瞳
雷は鳴り 激しい稲妻は明滅する ひらめく思念を 混乱させるように
黒雲の壁から にわかに雨が飛び出す 若き恋の嵐が 涙となるように
突風のうなりは 遠くから鳴り響き 天へと荒れ狂い
あらゆる星を揺り動かす しかし 天使のような飾り物は
愛らしく光を放つ 平和の鳩が静かに
二つの美しい瞳を私に向けるように 雷鳴の中で私は考える
いつの日か 私の墓の上に
嘆きの言葉が語られるだろうか 死の天使が 私の額にくちづけをし
生命の合唱が 静かに消えてゆく 思い出はからみ そうして姿を離れる
私はすべてを忘れたのか 何ものも手元に置こうとしないのか 今 お前は
天使のような飾りの中で光り 安らかに お前の眼が私に注がれている
７ 運命のリンゴ
トーダ、いい人と会えるといいね なぜならこのリンゴと出会う人
その人とこの娘は 結ばれる運命にあるのだから
"ひよっとしたら このリンゴは おじいさんと出くわすんじゃないかしら？"
本当にそうなってしまった！
"だけど おじいさんなんかいや！ そんなのと トーダは結婚しません！"
だから彼女は 老人を井戸に行かせます
"ちゃんと水を運んでこれるかしら？"あら、ごらんなさい
おじいさんは戻ってきます かめ一杯に水を入れて
"一緒になろうよ、トーダ 愛するいとしい娘よ"
"だけどおじいさんなんかいや！そんなのとトーダは結婚しません！
だから彼女は老人を森に行かせます
"重いたき木を背負ってこれるかしら？"あら、ごらんなさい
老人は 大きな籠にたくさんのたき木を入れてやってきます
"一緒になろうよ、トーダ 愛するいとしい娘よ"
"だけどおじいさんなんかいや！"だから彼女は老人を戦場へ送り出します
"うまく刀で切られて死んでくれないかしら？"
あら ごらんなさい おじいさんが刀をしっかり手にもって戻って来ます
"一緒になろう 愛するいとしい娘よ 運命から お前は逃れることは
できないのだから"
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